正月に実家へ帰った時のお話。
めずらしく真面目な口調で親父から絵を描いてくれと頼まれた。 突然なんなんだと理由を問いただす。 20代の後半、フィリピンのイサベラ州で農業を教えていた親父は、2年ほど暮らしていた小さな村にたくさんの友人がいる。その中でも特に仲の良かった友人の娘達に何かプレゼントをと思い、ちょうど帰省していた、少し絵の得意な我が息子に似顔絵を描かせようと考えたらしい。定年してからは懐かしい笑顔に会うために、ちょくちょく日本を飛び出しているようで。僕に写真を見せながら、村の人達の暮らしぶりや、農業について楽しそうに話す父親の姿は、さながら夢を語る青年のようでもある。 僕が親父に連れられて、その村を訪れたのはもう20年も前のこと。小3の夏休みだった。その時、言葉も通じない村の子供達と外が真っ暗になるまで遊び回っていたことが、現実にあったことなのかすら疑ってしまうほど時間は過ぎてしまった。裸足で駆け回っていたみんなも、もうパリっとした大人になっているんだろうなと思うと、自分はどうなんだろう?と正直あせりもある。 そんな懐かしい顔や笑い声を頭の中で転がしながら、まっ白な画用紙にシャカシャカ、ゴリゴリと色鉛筆を塗りつける。40年前、国も文化も言葉も違いそれでもつながり合った絆が、自分たちの子供も巻き込んでこれからもまだまだ続いていく。それを心から愉しんでいる親父をみていると、まだまだ自分は鼻ったれのクソガキなのだ。そんなことを痛感した2010年の始まりなのだ。
by monday_panda
| 2010-01-21 01:28
| illustration
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