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ちゃちゃちゃの。
木曜日、フォトグラファーの武藤さんから連絡をいただき、被災地に送る支援物資の仕分けのお手伝いへ伺う。今回は避難所で生活している子供たちのために、文具やおもちゃを送るのだそうだ。おもちゃといえば子供たちにとっては、宝物のようなもの。そんなキラキラしたおもちゃを素っ気ない段ボールで送るよりは、少しでも楽しげでハッピーな方がいいということで、イラストを提供してくれないだろうか?と依頼され、よろこんでイラストを使っていただく。

節電もするし募金もする。毎日、テレビやネットで被災地の情報も見る、それでも一ヶ月たった今でも、どうしても自分の中で少し遠い出来事に思えてしまう。残念だけどリアルに感じられないのだ。その感覚がはがゆい。そう感じる人は少なくないのだと思う。何かしたいけど、何かしているつもりだけれど、それが実感を伴って、自分の中にストンと落ちてこない。どこかで引っかかってモヤモヤする。そういう毎日。そんな想いも詰まっているだろう、いろんな形をした、色とりどりのおもちゃが詰まった段ボール箱が、武藤さんのお知り合いの方々から大量に届いていた。まるでおもちゃ屋の倉庫みたいに。仕分けをすすめる方々の隣で、地べたに座り込みペタペタと段ボールの外側にイラストを貼付けていく。なるべく幸せそうな、少しでも元気になれそうなイラストを選んで。ラジオからは清志郎が『原子力は要らねぇ 危ねぇ』と歌い、ヒロトが『チェルノブイリには行きたくねぇ』と叫んでいる。
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分かってはいる。例えばこの状況で被災地に千羽鶴を送ったとして、その気持ちは届くかもしれないけれど、実質的な部分でプラスにはなかなか成り得ない。ありがた迷惑だという報道も目にする。ガワよりも中身が大事だ。泥水で汚れた缶ジュースを洗って飲んでいるように、綺麗なパッケージなんかよりも、腹にがっつり収まるモノの方が重要だ。きっとこのおもちゃ箱も現地へ届けば、ゴミになったり、寒さを防ぐために布団の下に敷かれたり、たき火の火になったりする。それでいい。一秒でも『あっ!』と思ってくれれば。春が来るたびにサクラを見上げるような気持ちに。そのカラフルな段ボールのように、少しでも気持ちが明るくなってくれれば。街も新しく鮮やかに色づき始めた。今年もまた春が来る。
by monday_panda | 2011-04-10 07:50 | illustration
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イラストレーター栄元太郎のブログ。イラストや写真や言葉。溜まったものを、ぽこぽことアウトプット。
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