3月のあたま、海のむこうに住んでいる友達からメールが届く。その中に『スラムドッグ$ミリオネア見た?アカデミー賞とったやつ』そんなような一文が。その時はまだ日本では公開されていなかったので『公開されたら観に行ってみるよ』と返事をした。ということで、先週の土曜日、チャリンコにまたがり多摩川の土手をスイスイと夜風に吹かれ、川崎駅近くの映画館へ。終電間際、老若男女ではなく若若男女が、名残惜しそうに改札の前で騒いでいる姿を横目に、最上階がシネコンになっているビルの中へ。カウンターでチケットを買う。売店でコーラを買う。そして館内へ向かう。何百人も入れる空間に10人もいない。暗くて広くて、なんだかぽつり。夜中の映画館はそれがいい。一番後ろの真ん中の席に腰をおろし、せわしなく流れる、近日公開の予告編をぼけ〜っと眺める。
監督:ダニー・ボイル/脚本:サイモン・ビューフォイ/出演:デーヴ・バテル、アニル・カプール、イルファン・カーン、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント アカデミー賞を8部門受賞したからといって、いい映画とは限らない!と、あまのじゃく精神むきだしで観に行ってはみたものの、いとも簡単にやられてしまった。トレーラーで何度も目にした、日本でもおなじみの人気クイズ番組のワンシーン。それだけのイメージで勝手に、スラム出身の無学な青年が一夜で億万長者になる、単純なサクセスストーリーを想像していた。でも実際は、スクリーンいっぱいに生命感が躍動し、愛に突き動かされ、運命に翻弄された"スラムドッグ"の壮快なラブストーリーだった。 映像や構成に特に目新しさがあるわけでもない、キャストがとびきり豪華なわけでもない、制作費が何百億という大作でもない、ベタでストレートなこの映画に、ぐわんぐわんと心を揺さぶられる。 映画の舞台となったインド、ムンバイのみならず、世界中でなくなることのない、宗教問題、格差社会、人身売買、幼児虐待、売春、貧困などの深刻な社会問題。登場人物のジャマール、ラティカ、サリーム、それぞれの心の奥から噴き出す、欲望、嫉妬、愛情、葛藤、純粋で一途な想い。それらのいくつもの要素を違和感なく巧みに組み合わせ、彼らががむしゃらに駆け抜けてきた壮絶な過去と、スラムを這いずり回り辿り着いた現在とを、テンポよく行き来しながら、物語は最高の結末へ向かって加速度をあげてゆく。 A.最低っ!最悪っ! B.可もなく不可もなく。 C.金返せっ! D.ブラボー! 『D!ブラボー!』 『ファイナルアンサ〜?』 『YES、ファイナルアンサー!』 といった感じで、本来、娯楽としての映画が持っている、愛・夢・希望などのポジティブでハッピーな底力を、ガツンと見せつけられ、魅せつけられた、力強い作品でした。
by monday_panda
| 2009-05-27 23:00
| movie
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