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踊る光と歌う影の町。その2
排気ガスと潮風にまみれながら30分も歩いていると汗が噴き出してくる。ブンタ要塞近くの防波堤で一服していると、遠くから二十歳そこそこの3人組に『ハポネ!ハポネ!』と声をかけられる。一人が近づいてきて、しっちゃかめっちゃかの会話が始まる。スペイン語で話しかけられるもまったく分からない。英語も混ざっているようだけど、いまいちよく分からない。それでもお互い諦めもせず、身振り手振りメインの会話は続く。客席に座って二人のやりとりを字幕付きで見てみたい。きっと支離滅裂でシュールな物語が展開しているはずなのだ。最後に『キューバを楽しんで!』という言葉を頂戴し別れる。もちろんもちろん、楽しみますとも。
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チェ・ゲバラ、カストロ、ヘミングウェイ、キューバの象徴でもある、世界的にみても有名なこの人物たちのことを、僕はこれっぽっちも知らない。知らないということは時に罪にもなりうる。知らない分からないで通用することは、歳を重ねるごとに減っていく。30年も生きていれば尚更だ。だからというわけではないけれど、地球の歩き方に写真付きで紹介されている観光名所くらいは見ておこうと、旧市街に点々と広がるそれらを目指し、町中を歩き回る。それにしても日本人、アジア人を見かけない。ポテポテと歩いていると、とびきりの笑顔とサムアップつきでよく声をかけられる。『ハポネ!ハポネ!』と。ハポネに続いて8割くらいの割合で『サヨナラ』とも言われる。『コンニチハ』ではなく『サヨナラ』。出会ってすぐの挨拶が『サヨナラ』。キューバに着いたばかりだというのに『サヨナラ』。どこで、誰に教えてもらったんだろう?とりあえずこちらも笑顔で『アディオス!』と手をふる。花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ。ただサヨナラだけの人生じゃ、つまらない。とも思う。
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また別の日、ホテルの前でぺちゃくちゃとたむろしているタクシーの運転手さんに声をかけて、郊外にあるヘミングウェイ博物館まで連れて行ってもらう。ドライバーは母親と同じ年頃のおばちゃん。町ですれちがう人達のように、何かを話しかけてくるわけでもなく、ふふふ〜ん♪ふふん♪と終止気持ち良さそうに鼻歌を歌っている。僕は鼻歌の聞こえる空間が好きだ。ボロンボロンとタクシーは排気ガスをコレでもかというほど吐き出しながら、初めて見るキューバの町並みを勢いよく走り抜けて行く。ヘミングウェイの屋敷は静かな高台にあり、白い雲と青い空、その下に色とりどりに広がる町並みが一望出来た。どこまでも続いている、果てのない感覚。ここで書かれた何かしらを日本に帰ったら読んでみようと思った。文豪の愛したその町の空から、きっと続いている日本の空の下で。
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by monday_panda | 2010-08-04 23:30 | daily | Comments(2)
Commented by いけ at 2010-08-06 18:33 x
キューバ行っとったんや!きれいやなあ、写真。みんな原色の服が似合うこと!私もヘミングウェイ、良く知らん。モヒートが好きって事しか知らん。いいなあ一人旅。私もどっか遠くに行きたいわ〜。夏バテするなよん。
Commented by monday_panda at 2010-08-07 00:10
いけちゃん・・・こんばんは。そうそう、ひとりでね。誰もつき合ってくれる人がおらんけんねぇ。旦那さんの大好きなジャマイカはキューバのお隣ですよ。そちらは女子4人で楽しいご旅行でしたかい?
就職活動はじめるから夏バテなんかしてらんねぇのだ。
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