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奇跡の傍観者。
 成人の日。毎年恒例になりつつある、全国高等学校サッカー選手権大会の決勝戦を観戦するため、聖地国立へ向かう。高校のサッカー部の友人と国立競技場駅で待ち合わせる。今年はたったの二人。なんだか毎年人数が減っていっているコトが淋しくてならない。昨年、一昨年は雪がチラつく中でのガタガタ震えながら拝んでいたけれど、めずらしくこの日は太陽が南の空の低い所で存在感を放っている。正面から眩しい程の陽射しを浴びて、眉間にしわを寄せながら、白く反射するピッチの上を跳ね回る丸い影と生き生きと躍動する影をを追いかける。
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 一昨年の大迫の出場した大会程ではないにしろ、キックオフの時間に合わせて、だんだんとスタンドは人で埋まってゆく。滝川第二VS久御山。高校サッカーファンからすれば、滝川第二はかなりのメジャーどころ。対する久御山は、初めて名前を聞く高校。84回大会、彗星のごとく現れ『セクシーフットボール』を掲げ優勝までかっさらって行った野洲高校と少し重なる。こういう無名だった高校が一試合ごとに知名度を上げ、自信と信頼と実力を身にまとい、聖地へ辿り着くプロセスを目の当たりに出来るのも、プロにはない高校サッカーの醍醐味である。もちろんこの日は『公立の星』である久御山側のスタンドから声援を送る。
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 久御山ペースで展開されていたゲームも、試合巧者、経験の差からか、徐々に滝川の要所要所でのプレーが活き始める。一歩の差、一瞬の気の緩みからか、内容からは予想出来なかった2-0のスコアで前半を折り返す。久御山の快進撃に心躍らせていたファンにも、ここまでか〜という雰囲気が漂う中、後半がキックオフ。後半開始早々、両チーム一点ずつ取り合うも、後半15分の時点で4-1。少しスタジアムの空気も冷め始め、スタンドで声援を送る久御山の応援団の声も心なし小さく聞こえる。そんな空気はおかまいなしに、刻々と時間だけがタイムアップへと近づき、残り10分を切りスタジアムをあとにする人達がポツポツと現れ始めてからが、この試合、この大回の最大の見所だった。1点を返し4-2とした久御山がボールを持つ度に、スタンドがどよめき、うねり始める。パスが繋がり、ゴールへ近づく度に、何か凄い奇跡を期待するようなエネルギーが久御山サッカー部を後押しする。残り5分、その国立を包み込む言い知れぬ雰囲気の中、また久御山が滝川のゴールネットを揺らし、4-3に。『いける、いける!』『キタキタっ!』とあちこちから声が飛ぶ。
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 結局、まえがかりになった所をつかれ、逆に1点を奪われ、5-3でタイムアップ。スタンドで前のめりになった人々の期待は、蒼く澄み渡った空に吸い込まれ、思い描いた奇跡は見届けることが出来なかった。傍観者はいつも、無責任である。現金である。おもしろければ、心躍ればそれで満足なのだ。

 がしかし、毎年思う。何度も思う。奇跡をすぐそこまで、手に届く所までたぐり寄せることが出来たイレブン、やっぱり君は、君たちは美しい。と。そして今大会、最後で最高のグッドルーザーだと。
 
by monday_panda | 2011-01-12 04:44 | football | Comments(0)
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