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うららかさんぽ 32
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時折吹くやわらかい風は、青い春を思わせる湿った夏の匂いで、水たまりはチラチラと、雲の間から差す夏の白い光を街中に弾き飛ばしていた。知ることのなかった遠い土地の、静寂を運ぶような電車に乗って、見たことのない海を見に行く。窓の外に流れる少し彩度の低い景色に見憶えがある。そんな気がするだけで、ほんとは何も知らない。トンネルの向こうにポッカリとくり抜かれた小さな空の青は、1秒後も10年先も同じ色をしてるだろうか。雲は流れ、また東北の太陽が顔を出した。海からの風が潮の香りを強くし、たくさんの光の粒を丁寧に波間にちりばめていた。誰がなんと言おうと季節は夏だ。陽炎のように揺らめく、一度きりの夏だ。
(宮城県・宮城郡・松島町)
 
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by monday_panda | 2012-08-13 23:23 | stroll | Comments(0)
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イラストレーター栄元太郎のブログ。イラストや写真や言葉。溜まったものを、ぽこぽことアウトプット。
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