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<   2013年 08月 ( 3 )   > この月の画像一覧
illustration works 31
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先日、よく晴れた昼下がり、ガラガラの電車にぼ~っと乗っていました。すると、ピッチリ横分けの外国人の青年に、横浜駅までの行き方を尋ねられました。路線図を指差し、超片言の英語で答えてはみるものの、ちゃんと伝わってない気がします。距離もあり、乗り換えなんかもあって少し面倒くさそうなので、途中の駅まで一緒に行くことにしました。もちろんその車内、二人の間に会話はありません。シャイです。シャイボーイです。もうさすがに迷いようのない、横浜まであと5駅というところで、僕は途中下車。『ほなね』と手を挙げると、片言の日本語で『アリガト』と本場のサムズアップが返ってきました。同じ言葉を使い、ちゃんと想いや考えを伝える術を持っていても、睨み合い罵り合い、傷つけ合う現実がこの世界からはなくなりません。その反対に、伝える術を持ち合わせてなくても、目を合わせ微笑み合い、なぜか通じ合える事も多々あります。大事な事は、伝わる言葉よりも伝えたい気持ちです。言葉が無理なら態度で示せばいいんです。…なんつって。ずーっと英語を遠ざけて生きてきた、ただの言い訳ですが。

みんなが暮らす、まぁるい地球。子供じみたケンカをしているのは大人ばかりです。
 
Client : セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
Media : グリーティングカード
 
 
 
by monday_panda | 2013-08-28 15:44 | works【 illust 】
うららかさんぽ 38
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AM 5:00。盛岡駅の新幹線の中で目が覚めた。大きくあくびをひとつ。始発電車に乗り、一路、大船渡を目指す。秋田行きは仕切り直しに。昨日の大雨が嘘のように、どこまでも広がる瑞々しい田園風景の奥に連なる山並みから、夏の太陽が顔を出し始めた。やっぱり今日は晴れそうだ。新幹線で盛岡から一ノ関へ。そこから大船渡線に揺られ気仙沼まで行き、BRT(バス高速輸送システム)に乗り込み細浦へ。車窓に流れるのは東北の夏。そのまっただ中をガタンゴトンブッブッブッーと、軽快なリズムで運ばれて行く。早朝から4時間かけ、お昼前に大船渡にある大田仮設住宅に到着した。

メンバーとして声をかけていただいていた、“虹色写真館”にこの日から途中参加。虹色写真館は、フリーランスのフォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイク、イラストレーターなど様々なクリエイターと、写真制作会社レインボープロダクションによる課外活動。今夏は大田仮設住宅の夏祭りに合わせて、ここで暮らす方々の、この夏の思い出の一コマになればと出張撮影会を開催することに。ということで、もう現地で3日目を迎えるメンバーに挨拶をして、なんとなぁくその輪に、その空気に馴染んでいく。昨日、撮影したという写真を何点か見せてもらう。家族の写真、夫婦の写真、友達同士の写真。大きなカメラを前にして、少し緊張気味の表情が、一枚ごとに解きほぐされていくような印象を受ける。いい笑顔。いい眼差し。本当にいいなぁ。改めて一枚の写真が持つ“チカラ”みたいなものを知る。
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ジリジリと、気温だけは着実に上がっていくお昼過ぎ。写真撮影の様子をふむふむと眺めたり。コーヒー飲んだり。子どもたちとヨーヨー作ったり。タバコ吸ったり。提灯ぶら下げたり。コーヒー飲んだり。地元のじいちゃんと話したり。タバコ吸ったり。どうやら休憩してばかり。『暑い暑い』と額に大粒の汗をうかべ、大人たちは日陰で座り込み、子どもたちは日向で走り回る。カメラマンでもヘアメイクでもない僕の出来ることといえば、それくらいのもんで。それでも賑やかに撮影は続き、盆踊りの準備もすすむ。

まだまだ太陽が西の空で粘っている時間から、おじさん連中は勢いよく酒を腹の中に流し込んでいく。特に仕事もなく手持ち無沙汰に見えたであろう僕は『兄ちゃんも呑め!呑め!』とおじさんの輪の中に引きずり込まれる。強いなまりとアルコールのせいもあってか、会話の半分くらいは聞き取れなかった。震災までは漁師だったじいちゃんの話しも、震災後、家族と離ればなれで暮らしているおっちゃんの話しも、あれもこれも、まだまだ酒の肴に出来るようなもんではなかったけれど。ちょうどこのタイミングだからこそ、話せる事もあったのかもしれないし。それでも、東京からプラッと夏休み気分でやって来た何も知らない兄ちゃんに、壁もなくたくさんの話しを聞かせてくれた事が、やけに心に響いた。30歳も年上の先輩方が、まるで二十歳そこいらの若造のように、酒の量に比例して、しょうもない下世話な話題になっていくのもまたよかった。気づけば提灯の小さな灯りが夕暮れ時の空で主張し始め、僕たちは、たった一度きりの暑くて短い夜の中にいた。
今年の夏は、あつい。あついなぁ。
(岩手県・大船渡市・末崎町・大田仮設団地)

虹色写真館レポートはこちら
虹色写真館|Facebook
虹色食堂
 
by monday_panda | 2013-08-27 10:35 | stroll | Comments(0)
うららかさんぽ 37
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お盆直前。お仕事で秋田へ向かう。始発の新幹線のシートに身体を埋め、コクリコクリ。意識の境界線をあっちへこっちへ。もう少しで盛岡という所で『岩手秋田の県境付近での大雨のため、新幹線の運行を一時見合わせます』との車内アナウンス。盛岡駅の構内は、どこにも向かえない人たちでごった返している。用意されたパイプ椅子に腰掛け、何度も読み返している文庫本をパラパラと眺める。結局、新幹線は不通となり、秋田へ向かう人達は次々と代替バスに押し込められる。どしゃ降りの生ぬるい雨の中、秋田に向けて出発進行。新幹線がダメなのに、バスで大丈夫かなぁ?と思ってから一時間後、まんまと岩手の山中で土砂崩れと冠水のため立ち往生。帰りたい帰れない。秋田へも向かえず、盛岡へも引き返せない。山道のすぐ横では、普段の何倍にも膨れ上がった川が狂ったように流れている。雨はさらに激しさを増す。なんとかかんとか雫石の道の駅に避難。待機。ようやく長期戦を覚悟。“さてさて、どうすっかなぁ?…どうにもならんなぁ”と煙草をぷかぷか。誰もが手持ち無沙汰で、止みそうにない空を見上げたり、川の様子を見に行ったり、手の中で充電の切れそうな携帯をもてあそぶ。あちこちで安否を伝える声や、仕事の断りをいれる声も聞こえる。ただただ、待つのみ。ただただ、状況が好転するのを静かに待つだけ。

状況がまったく分からないまま、待つ待つ待つ待つ。炊き出しが始まり、電気は止まり、灯りのない山中はあっさりと暗闇に包まれ、非常灯の小さな灯りがゆらゆらと辺りを照らす。ひそひそと話すか細い声は、川の轟音にかき消されていく。21時。ようやく盛岡への道が通行可能となり、50台を越えるタクシーが次々とやって来た。まるで戦隊ヒーローのスーパーカーみたいだ。一列に連なるフロントライトが単純にキレイで心強く思えた。なんだか少し疲れた。これまでに経験のないような大雨で、これまでに経験のない一日を過ごすことに。ホームに静かに横たわる行き先のない新幹線の座席で、浅い眠りへ落ちてゆく、盛岡の夜。いつのまにか雨は止んでいた。きっと明日は晴れるだろう。
(岩手県・岩手郡・雫石町)
 
by monday_panda | 2013-08-21 11:50 | stroll | Comments(0)



イラストレーター栄元太郎のブログ。イラストや写真や言葉。溜まったものを、ぽこぽことアウトプット。
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